【北海道出張その3】函館は地上の星座とヤリイカの宝石!
福岡管区気象台はきょう3月13日(金)午前、福岡で桜(ソメイヨシノ)の開花を観測したと発表したそうです。いよいよ、本格的に春が近づいてきましたね~。自転車で快適に走れる季節がもうまもなくやってくると思うと、なんだかウキウキしてきます。
さて、北海道出張編その3は、まだ滑走路の端っこに白い雪が残る、札幌郊外の小さなローカル空港から始まります--。
◇ ◇ ◇
北海道出張の3日目、3月9日(月)は、朝に余市(よいち)で1件、午後に札幌で2件のお仕事をこなし、夕方には飛行機に飛び乗って函館へ向かいました。翌10日の朝早くから、北海道の代表的な民謡、「江差追分(えさしおいわけ)」の発祥地である江差町で仕事をしなくてはならないからです。
出発した空港は、メジャーな新千歳空港ではなく、大きな便の乗り入れが少ない札幌丘珠(おかだま)空港。主に、北海道内のローカル便に使われているようで、ここを利用するのは初めてでした。
空港についてみると、いやあ、札幌っていう大都市の空港なのに、ちっちゃい建物だなあ。搭乗する飛行機は、そんな丘珠空港にぴったりサイズで、たった36人乗りのプロペラ機・サーブ340Bです。
ちっちゃいプロペラ機って、離着陸時の上昇・下降がジェット機がゆるやかだし、比較的に低空を飛ぶから、地上の景色がよく見えて大好きなんだよな~。うれしい、うれしい
ただ、ほかの大型ジェット機みたいに、WEBを通して自由に座席を指定できないのが玉にキズ。きっと、ジェット機よりもパワーが小さい分、重量バランスが与える飛行への影響が大きいせいだと思いますが、乗客に勝手に座席を選ばれてしまうとまずいらしいんです。
サーブ340Bは、通路の左側に1人がけ、右側に2人がけの座席があり、それが12列並んでいます。今回のフライトは、乗客8人が乗り込みましたが、全員が8列目より後ろに座らされました。9列目の私の座席からみると、写真のように、前方には誰も座っていません。なんだか、かえってバランス悪そうなんですけど、大丈夫?
ちっちゃいプロペラ機といえば、2002年にこんな経験をしました。北海道南西沖地震(1993年)の津波で大被害を受けたことで知られる奥尻島へ、函館空港発の便で行ったときのこと。乗った機種名は覚えていませんが、14人乗りという、ものすごくちっちゃいプロペラ機でした。
チェックインして座席を決めるため、空港のカウンターに行くと、受け付けてくれたかわいい女の子が、とびっきりの笑顔を浮かべながら、「飛行機のバランスを取る関係がありまして…」と話を切り出してきました。
きっと、座れる位置が限定されるんだろうな。よくあることさ--と思っていたら、続いてキュートな唇からこぼれてきたのは、「お客様の体重をお教えいただけますか?」。
……まあ、ちゃんと答えましたよ、「はい、95キロです」って。30キロ以上サバを読みながら、こちらも最高の笑顔を花束にして。うん、キミはそんなにボクのことを知りたいんだね(違うだろ!)。
おっかしいなあ。私の前に並んでいた人も奥尻行きだったけど、体重なんて聞かれてなかったぞ。
どうも腑に落ちないので、ほかの人の搭乗手続きにもさり気なく聞き耳を立てていると、やっぱり、そんなことを聞かれている人なんて1人もいません。聞かれたのは、私だけってこと? それってつまり……。
「こいつだけは体重を聞いとかないとマジやばい!」
と、思われたわけですね。うーむ、見破られたか。日本エアシステム(当時)のカウンターレディ、恐るべし! まあ実際、当時は130キロ近くあったしサ、当たり前っちゃあ当たり前なんですが。
飛行機に乗り込んで、シートベルトを締めようとしていると、スチュワーデスさんから「お客様、エクステンションをお持ちしましょうか?」なんて、よく言われたもんですよ。この場合のエクステンションっていうのは、若い女の子がよくやる「つけ毛」ではなく、シーベル(おっ、狩野英孝風!)に継ぎ足して長さを伸ばす、お相撲さんの必需品のことね。
ま、あのとき私と同じ奥尻行きの便に乗った方々は、最高機密だった体重という個人情報を私が開示したおかげで、何事もなく安全なフライトが実現したのだと、ぜひとも感謝していただきたいものであります(サバは読んだけど)。
さあて、昔話はこれぐらいにして、私を含めた8人の乗客は、機体の後方に集められた状態で、無事に丘珠空港を飛び立ちました。先ほども書いたように、プロペラ機はわりに低い航路をとるので、函館空港に着く直前、五稜郭が実によく見えました。お堀につもった雪が白い五芒星を形作り、とってもきれいでした。
函館空港に到着したら、あとはもう、ご飯を食べて寝るだけです。あたりはもう真っ暗ですが、宿へ向かう前に、レンタカーでちょっと寄り道してみることにしました。
行き先は、函館山。標高334メートルのてっぺんから函館の夜景が見渡せるという人気スポットです。東京タワーのてっぺんより1メートル高いんですね。山麓から山頂までは、所要時間約3分でロープウェイが結んでいます。
山麓の無料駐車場に車を駐め、改札へ向かってみると、平日だというのに、かなりたくさんの観光客が来ています。しかも、カップルばっかり。東海林さだおさんの描く漫画、「ショージ君」ならば、即座に投げつけるのに手ごろな固い石を探すところですが、老境にさしかかった身としては、にこやかに見守るだけであります。
125人乗りという巨大なゴンドラだから、ほとんど待つことなく乗車でき、あっという間に山頂へ。ロープウェイの山頂駅にくっついた展望台に出てみると、すごい! 宝石のようにキラキラと輝く函館の街の灯が、視界いっぱいに広がります。うわあ、眼下に広がる星の海。地上の星座やあ~っ!!!
初めて眺めてみたけれど、これは見事ですね~。山頂はけっこう気温が低いのだけれど、それを忘れさせてしまう美しさでした。いわゆる「100万ドルの夜景」ってことですね。最近の為替レートで計算すると、だいたい9830万円相当になります。残念ながら、私のデジカメでは900円分も写し取れていませんが。上の写真よりもワイドな画角にしてみると、こんな感じです。
夜景に見とれていたら、いつの間にか1時間もたっていました。シャッターを押す指先も、さすがに凍えて感覚がなくなってきています。ずっと眺めていたい気持ちをなんとか抑えて、函館市内のホテルへと向かいました。
到着したのは午後8時。きょうはもう業務終了していますから、当然、夜の街へと向かいます。ガイドブックを参考に、「居酒屋 根ぼっけ」さんへ。根ぼっけとは、脂が乗った真ホッケのことで、ここんちでは、津軽海峡東側の恵山沖で獲れた根ボッケが売り物らしいです。
まずは、「根ボッケの刺身」から。ホッケが属するカサゴ目アイナメ科は、淡泊な白身の魚が多いのだけれど、ホッケは例外です。干物でもおわかりのように、身は褐色っぽくて、独特の香りと脂の強さが特徴ですが、これをお刺身にすると、いったいどんな味がするのでしょう。
食べてみると、やっぱり干物と同じ香りがふわ~っ。こういう、ちゃんと個性を持った魚って楽しいな。歯ごたえが柔らかいのはアイナメと一緒だけれど、脂がほどほどに乗っているから、さっぱりとしたアイナメとは違って洗いには向かなさそう。
味はわりと濃厚で、普通のお刺身だというのに、まるで昆布〆かなにかしてあるみたいな感じです。初めて食べたけれど、うまいな、こりゃ。2合徳利が、もうずいぶん軽くなっちゃった。
お次は、「幸神(こうじん)メヌケの刺身」。メヌケっていうのは、水深200~1000メートルの深い海に生息する、体長40~60センチぐらいのカサゴ目フサカサゴ科メバル属の赤い魚の総称です。深海から釣り上げられたときに、水圧の急激な変化で目が飛び出すことから、「目抜け」と名付けられたといわれています。
個別の魚種では、アコウダイやアカウオがおなじみですね。幸神メヌケもそのうちの1種で、漁獲量が極めて少ないため、メヌケ類の中では最高級といわれています。「幸神」という名前も、縁起がよくてうれしいですよね。
さあて、お皿に乗って搭乗した幸神メヌケ君のお刺身。身は真っ白でみずみずしく、ひとめ見ただけで新鮮な状態なのがわかります。右わきには、皮の湯引きが添えてありますね。
最初は身から。さっと醬油をつけて口に運ぶと、おおっ、ぷりぷりとすごい弾力で、歯を押し返してきます。それをさらに嚙み締めていくと、身のうまみがジュワッ。よく乗っている脂も口の中に広がるけれど、さあっと溶けて、全然しつこくないんです。
続いて皮の湯引きです。魚体自体が大きくて、しかも冷たい深海に生息しているから、皮はけっこう厚めで、その下にはコラーゲンがたっぷり。お湯をくぐってきゅっと縮んだ皮は、コリコリしてとっても楽しい食感になっています。
これは、わさび醬油もいいけれど、ポン酢だともっと味が引き立ちそうだなあ。ああ~、うまいっ! すみませ~ん、お酒、4合の大徳利でくださ~い!
お刺身は、もう1品頼みました。そう、ここは函館なんですから、名物のイカを食べなくては話にならないでしょう。
函館の魚市場には、6~12月にスルメイカ(真イカ)、1~5月にヤリイカが集まります。で、よく、函館のイカ刺はべっ甲色をしていて見事--なんていわれるのは、函館の前浜や津軽海峡で揚がるスルメイカのことで、函館でイカっていったらたいてい、こちらを指します。
一方、必然的にマイナーな位置づけとなるヤリイカは、実は函館では揚がらず、約70キロ南西の松前町で獲れたものが運ばれてくるんです。だから、「函館のイカのお刺身」を食べるには、ちょっとハズレの時期かもしれません。
けれど、ちゃんと朝獲りのヤリイカをいけすで生かしておき、活のまま頭のてっぺんから足の先まで、ぜ~んぶ食べ尽くす場合にかぎっては、最高のシーズンなんです。なぜかというと……。
お、さっそく活ヤリイカのお造りがやってきました。ついさっきまで、お店の水槽で泳いでいたやつです。うわあ、なんだ、この透明感は。まるでクリスタルのような輝きだぞ! おぬし、スワロフスキーか?
身は、いわゆるソーメン造りで、わさび醬油でいただきます。歯触り、味わいともに、実に繊細で淡いですね~。スルメイカのねっとり感とは、まったく別世界の食べ物です。もちろん、どっちがいいも悪いもありませんよ。それぞれの持ち味ですから。メイド服の小倉優子ちゃんと、ドロンジョさまの格好をした深田恭子ちゃんと、どっちがいい?って聞かれたら、「両方!」って答えるでしょ(あれ?)。
身をあらかた食べ尽くしたら、いよいよ、この時期ゆえのお宝にとりかかりましょう。お刺身が盛ってある寿司台の左側にご注目。どうれ、写真をアップにしましょうか。
右側にあるのはゲソ。イカの足ですね。左奥は、コロとかゴロとか呼ばれるイカのはらわたです。そして、左手前にある透明なブドウの房のようなものこそが、産卵直前の今の時期しか食べられない、ヤリイカの卵なのです。1粒1粒がまるで、宝石のような輝きじゃありませんか!
ヤリイカ自体、そんなに大きなものではありませんから、1匹に入っている卵の量もわずかです。なので、はしでつまんだら端っこにちょびっと醬油をつけて、少しずつ大切にいただきます。
一回に口へ運ぶ量は、小指の先ぐらいでしかないのに、実に濃厚。舌先で卵の粒をそっと押しつぶすと、ねっとりとした中身があふれ、口いっぱいに海の香りが広がります。ものすごく足が早い部分ですが、さっきまで水槽を泳いでいただけに、新鮮で臭みなどまったくありません。
どう説明すればいいでしょう。タコの卵をやや淡泊にした感じ--じゃわかりにくいですよね。そうだな、塩イクラの皮にもう少し弾力を持たせて細長い形にし、中身からしょっぱさを抜いた上で、もっと味を凝縮した感じとでもいいましょうか。うまくイメージが伝わるといいのですが…。
ここでもう、私は完全にノックアウト。この後、「真かすべ唐揚げ」(エイの唐揚げ)、「真かすべぬた」(湯引きしたエイのぬた)、「真イカゲソゴロ丼」(スルメイカのゲソとはらわたを混ぜ込んだご飯)などを食べましたが、ヤリイカの卵にはかないません。もちろん、いずれもおいしかったんだけれど、かすんじゃいました。
一応、写真は順番にアップしておきますが、「すみませ~ん、お酒、ピッチャーでくださ~い。大至急ね!」と叫んだ後の記憶がないもので、インプレッションはご勘弁を。。。
電チャリがテーマのブログなのに、電動アシスト自転車・ハリヤの話はいったい、いつになったら始まるのか!? かつてないほど長くなっている北海道出張編、あろうことか、ま~だ続きます
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コメント
130kg超の体重を見抜いて重量配分のために質問をするカウンターレディと,それに答えるチャリじいさんの心の葛藤が伝わってくるグルメレポートでした・・・。
いやはや私などは食べたことも無いような料理が並んでおり,外観からうまそうだなーとしか考えられませんでした。
私も一応航空関係の人間の端くれですから,思わず重量配分ってどうやるのかと頭の中で考えてしまいました。
まあ,慣性モーメントというのがあって,機体の片方の端っこにあまり重量物を置くとそれを打ち消すために水平飛行していてもエルロントリムを調整しなくてはいけないんですよね。
旋回や着陸時などは,パイロットにとっては,横風なのか機体の重心バランスなのかが分からないとやりにくいでしょう。
後ろに乗客を集めるのは面白いと思いました。
こうすると機体の重心がより後方に移動しますから,ピッチ運動の際に水平尾翼の効きがまろやかですがコクピット側の反応遅れは少なくてすみます。
垂直尾翼のコントロールでもヨー運動の効きはパイロット側では通常に近い動きに見えるので操縦はしやすそうです。
応援ぽち!
投稿: nekki5149 | 2009年3月13日 (金) 15時12分
函館の夜景きれいですね。
写真もすごくきれいに撮れてますね。
私のデジカメでは夜景を撮ろうと思ってもつぶれちゃいます。
腕の差ですね。
あいかわらずどのお料理も美味しそうでうらやましいです。
特に透明なイカなんて食べたことないです。
おいしそうです~ポチッ☆
投稿: くろばい | 2009年3月14日 (土) 00時03分
函館~懐かしい~です~。
10年前に新婚旅行で行って以来です。
私も函館でイカを食べまして・・・あまりの綺麗さ美味しさに感動した覚えがあります。
お値段もそれなりに高かったのですが、それ以上の感動でした。
北海道って、魚介類がほんとに美味しいですよね。
いいな~いいな~しか言葉が出てきません。。。
えっと、飛行機ですが。。。私は凄く苦手なんです。。。ですから、小型のプロペラ機なんぞに乗った日にゃ~寿命が10年縮みますです。。。なはは。。。
ぽちっと。
投稿: とっちゃん | 2009年3月14日 (土) 05時26分
【nekki5149 さま】
コメントありがとうございます!
>130kg超の体重を見抜いて重量配分のために質問をするカウンターレディと,それに答えるチャリじいさんの心の葛藤が伝わってくるグルメレポートでした・・・。
あははっ、最近は自転車のおかげで聞かれなくなりましたが。。。
>後ろに乗客を集めるのは面白いと思いました。こうすると機体の重心がより後方に移動しますから,ピッチ運動の際に水平尾翼の効きがまろやかですがコクピット側の反応遅れは少なくてすみます。垂直尾翼のコントロールでもヨー運動の効きはパイロット側では通常に近い動きに見えるので操縦はしやすそうです。
おお、専門的に分析すると、こういう風にきちんとした理由があるのですね。素人としては、あんまり後ろが重くなると悪影響がないかと心配になってしまいましたが。。。
応援ぽち!もありがとうございました。
【くろばい さま】
コメントありがとうございます!
>函館の夜景きれいですね。写真もすごくきれいに撮れてますね。私のデジカメでは夜景を撮ろうと思ってもつぶれちゃいます。腕の差ですね。
いえいえ、そんなことないです。夜景をとるときはどうしてもシャッタースピードが遅くなるので、カメラ本体をがっちりと固定することが必要になりますよね。三脚を持っていないときは、どこかしっかりした場所に置くことです。この写真は、展望台のコイン双眼鏡を台にして撮りました。もうひとつ、そうやって固定した上で、セルフタイマーで撮ると、シャッターを押した衝撃によるぶれも防げますよ。お試しあれ!
>あいかわらずどのお料理も美味しそうでうらやましいです。特に透明なイカなんて食べたことないです。おいしそうです~ポチッ☆
やっぱり本場だけに、とってもきれいでおいしかったです。あの透明度には、本当に驚きました。ポチッ☆もありがとうございました。
【とっちゃん さま】
コメントありがとうございます!
>私も函館でイカを食べまして・・・あまりの綺麗さ美味しさに感動した覚えがあります。お値段もそれなりに高かったのですが、それ以上の感動でした。
やっぱり、活で食べると少々値が張ってしまいますね。でも、値段相応、あるいはそれ以上の価値は確かにあるようで。。。
>えっと、飛行機ですが。。。私は凄く苦手なんです。。。ですから、小型のプロペラ機なんぞに乗った日にゃ~寿命が10年縮みますです。。。なはは。。。
確かに、飛行機ってちっちゃくなればなるほど、揺れも大きくなるから、おっかなく感じてしまう面もありますよね。こればっかりは慣れかもしれませんね。ぽちっもありがとうございました。
投稿: チャリじい | 2009年3月14日 (土) 14時41分