沖縄出張最終日の4月17日(金)は、本部町(もとぶまち)でのお仕事を午後5時近くに終え、今回の出張は無事にミッションコンプリートとなりました。さあ、あとは午後9時の飛行機に乗り込むまでフリータイムです。
といっても、本部町から空港までは、夕方のラッシュを考慮すると2時間はみなくてはなりません。離陸予定時刻の1時間前には空港に着いておく必要があるし、実質的に、使える時間は1時間だけ。さあ、貴重な残り時間、何に使いましょうか。
実はチャリじいは、ある沖縄ならではの食材を、かなり昔から食べてみたいと思っておりました。で、きのうの夜に立ち寄った、那覇・国際通りのヤギ肉料理店、「さかえ」さんで、仲良くなった地元の方から、「それを食べたいなら、沖縄本島ではこの店がいちばんいいよ」という情報を得てしまったのであります。
で、そのお店、「カナ」さんは、本部町から那覇へ向かう途中の北中城村(きたなかぐすくそん)にあります。以前からの念願をかなえる大チャンス! これは行くっきゃないでしょう。というわけで、、、
沖縄ならではの「アレ」を目指してGO!
そうと決まれば、さっさと道を急ぎたいところではありますが、それも味気ないので、途中で通りかかったうるま市の高台から、海を見下ろしてパチリ!

1時間ほどで北中城村に到着しました。カナさんは、かなりわかりにくい場所にあって、方向音痴のチャリじいは一瞬、途方に暮れましたが、なんとか看板を見つけてホッ!

外見は普通の民家ですね。入ってみても、普通の民家でした。

テーブルについたら、時間もないことですし、さっさと注文してしまいましょう。「イラブー定食」(3500円)をお願いいたしました。
……え~と、「イラブー」ってなんのことか、ご存じでしょうか。正式名称は「エラブウミヘビ」と申しまして、コブラ科に属し、ハブの70~80倍も強力という毒を持っております。
沖縄や奄美地方では古くから、燻製や干物などの形で食用にされてきました。滋養強壮に効果があるとされ、沖縄料理の貴重な食材として今も珍重されているそうです。
ということで、はい、そうです。今回は、、、
猛毒のウミヘビを食べに来ました~!
あ、そういえば、カナさんの看板には「琉球郷土料理・イラブー料理」って書いてありました。
えっと、ヘビという動物は、かつてアダムとイブに知恵の実であるリンゴを食べさせた罪のせいか、多くのキリスト教徒の方々を中心に、忌み嫌われている存在であります。当ブログの読者の方の中にも、「ヘビなんて、見るのもイヤッ!」という方がいらっしゃるかもしれません。
で、きょうの記事のここから先の部分には、ヘビの料理および、その食材の写真が出てまいります。従いまして、ヘビがお嫌いな方は、この先をご覧になるのをおすすめいたしません。せっかく遊びに来ていただいたのに、ご不快な思いをさせてしまっては申し訳ないので、ひと言ご注意を申し上げておきます。
大丈夫ですか?
もうすぐ出てきますよ。
帰るなら今のうちですよ。
これが最後。もう行っちゃいますからね。
お待たせしました。イラブー定食です。

メインの「イラブー汁」のほか、沖縄らしい料理がいっぱいの、見るからに楽しい定食であります。もちろん、ウミヘビに対する嫌悪感がなければですが。。。
イラブー汁のアップです。

燻製になったイラブーと、テビチ(豚足)、昆布がいっしょに煮込んであります。
さっそくスープをひと口飲んでみました。ヘビって、いかにも臭いがきつそうな感じだけれど、意外や、醬油味のスープは実にあっさりしています。昆布とテビチから実にいいだしが出ています。わずかに苦みっぽい成分が、きっとイラブーの香りなのでしょう。でも、決して嫌な味ではありません。
続いて、イラブーそのものもいってみましょう。はしでつまんでパクリ! おお、皮の部分は、皮下の脂なのかコラーゲンなのか、とても柔らかい層があります。たとえて言えば、「煮魚の皮の下」って感じでしょうか。皮自体は魚よりも厚いですが。
皮の下に隠れている身は、少しクセのある味です。香りが強いかな。これって、何かに似ている。そうだ、身欠きニシンの食感、味わいにかなり近いんだ! ニシンそばの上に煮付けで乗っかっているやつですね。あの味わいをやや淡く、繊細にして、スープをたっぷりしみこませたようなイメージです。
正直なところ、ウミヘビのお料理って、味はそれほど期待していなかったのであります。食べることに意義があるっていうか。。。
でも、このイラブー汁、実にいい味なんですよ。ふんわりとふくらみのあるやさしい味わいで、料理として非常にレベルが高い。すばらしい味の秘密は、こんなにでっかい昆布がいくつも一緒に煮込まれていることもあるんでしょうね。天然のグルタミン酸が、たっぷりと出ているんだろうな~。

一緒に煮込んであるテビチも、とろっとろ!テビチは醬油と泡盛、黒糖の濃い味付けで煮付けられることが多いですが、こういったあっさり味で煮込むのもいいですね。沖縄では、おでんにも入れるんですが、それに近い味わいかな。
醬油系の煮込みだと、きゅっと締まってしまうこともありますが、こういうスープで煮込むと、浸透圧の具合でしょうか、ふわふわとジューシーに仕上がります。ああ、おいし~っ!
レベルの高さは、イラブー汁だけではありません。これは、「ウカライリチー」。ウカラは「おから」のことで、イリチーは「炒める」の意味。ですから、オカラの炒めものということになりますね。「炒りつける」からできた言葉なんでしょうね。ちなみに、肉を入れて炒める場合は「チャンプルー」になります。

カツオべースで味付けしたオカラが、炒めることで芳ばしさを増し、モヤシやニンジン、ヒジキなどと、すてきなハーモニーを奏でています。炒め油はほとんど使ってないみたいですね。
こちらは「スヌイ」。本土の言葉ではモズクです。これも、沖縄の特産のひとつですね。タレは、甘くはないけれど、とんがりすぎてもいない、ほどよくシャキッとした酸味がいい感じです。モズクそのものは、海の香りの輪郭がくっきりと浮き上がり、新鮮さを強く感じさせられました。

ご飯ものは、「フーチバージューシー」です。フーチバーはヨモギ、ジューシーは雑炊あるいは炊き込みご飯の意味です。ここんちのは炊き込みご飯の方ですね。

どうです、このご飯! お米のひと粒ひと粒の照りが、実に見事じゃありませんか。ご飯にカツオだしの利いたスープがしみこんで、かなりうまいです。細かく刻んだヨモギの清涼感がいいアクセントになっていますね~。さいの目に切った豚肉やにんじんも一緒に炊き込んでありますね。
漬け物は「大根のミルク漬け」。基本的には浅漬けですが、漬け汁にミルクを入れてあるんでしょうね。ふんわりと乳製品の甘い香りがしました。
最後は、「ジーマーミ豆腐」です。ピーナッツで作ったお豆腐に、甘じょっぱいタレがついています。これはねとっとした柔らかい食感が特徴で、デザート感覚の食べ物ですね。

ふぅ~っ。これにて、イラブー定食を完食! あまりに料理のレベルが高くて、正直、びっくりいたしました。ヘビ料理というと、ゲテモノっぽいイメージを抱かれがちでしょうが、ここんちのは決してそんなことはありません。
沖縄には、「ぬちぐすい」という言葉があります。ぬちは命、ぐすいは薬の意味で、直訳すれば、「命の薬」ということになります。で、多くの場合、この言葉は「愛情のこもった素晴らしい料理」に対して使われます。
イラブーは、薬効があるとされている上に、実に深い味わいを楽しませてくれました。また、すべての料理から、食材の自然な持ち味を最大限に引きだそうという姿勢がありありと見て取れました。
これは、食べる人間に対する愛情の表れと言っても差し支えないでしょう。イラブー定食を食べ終わって、「これはまさに、ぬちぐすいだな」と思ったチャリじいでありました。
さて、食べ終わって、お店のおばちゃんと「イラブーって初めて食べたけれど、おいしいものですね~」なんて話していたら、調理前のイラブーの燻製を見せてくれました。
イラブーの燻製とぐろ巻き。

持たせてもらってパチリ。触った感じは少ししっとりしていて、意外にずっしりとした重量感がありました。
で、おばちゃんが続いて、店のすみに置いてあったでっかい段ボールを指さしながら、「開けてみてごらんなさいな」と言うので、なんだろうと思いながら開けてみると、、、
イラブーの剣が大箱にぎっしり!

いや、剣じゃないですね。まっすぐの状態で仕上げられたイラブーの燻製です。長さは1メートルぐらいありましたよ。それにしても、こんなにぎっしり入っていると、大迫力ですね。
詳しいことは聞きませんでしたが、イラブーの調理は2日がかりだそうで、おばちゃんによると、「まっすぐな方が料理がしやすい」ということでした。ヘビは小骨が多いから、それを丁寧に抜くのは大変な作業らしいです。
そんなに手間をかけた料理だから、これほどおいしかったんですね。どうも、ごちそうさまでした~!
カナさんからの帰り道、いかにも沖縄らしい民家を見つけたのでパチリ。海洋博が行われた1975年に初めて沖縄に来たときは、こんなお家ばっかりでしたっけ。今は少なくなってしまったけれど。

カナさんを出発したら、あとは空港へ向かうだけです。で、その途中のことなんですが、なんと身体に変化が表れました。
身体がポッポと熱くなって、背中に汗がにじんでいるのがわかります。頭も妙にシャキッとして、全身に力がみなぎっているような感じがします。お~っ、これってひょっとして、イラブー効果? すごいなあ、こんなに効くんだな。
沖縄のウミヘビ、恐るべし!
ほんとに命の薬だな。
みなぎった力のやり場がないまま運転を続け、金曜の夜だから、ちょっと渋滞につかまっちゃいましたが、なんとか午後8時に到着できました。着いたら、まずは空港の売店で空弁を確保いたしましょう。

買ったのはこれ、「セーイカの押し寿司」(780円)です。

なぜ背景が自宅のテーブルになっているかというと、飛行機に乗ったとたんに爆睡してしまって、食べ損なったからです(笑)。
で、午前0時すぎに自宅に着いてから、お夜食にいただきました。

セーイカというのは、標準和名をソデイカという、食用としては世界最大級の沖縄特産のイカです。大きいものだと体長1メートル、重さ20キロにも育ちます。
この押し寿司は、ドラゴンフルーツ酢で染めた黒紫米入りの「紅いしゃり」と、チキナー(カラシ菜)を混ぜた「白いしゃり」の、2種類のご飯が使われているのが特徴です。
さっそくパクリ! お~、イカが実にやわらかくて甘~い! あ、もちろんイカは生ですよ。おいし~!
ごはんも、紅白2種類を味わえて、とっても楽しいですね。ただ、もうちょっとお米の粒立ちをよくした方が、私の好みには合っていたかな~。
【きょうの1歩】
沖縄出張の2日目は、昼、夜はまあ普通のカロリーの範囲内だけれど、自宅に帰ってからの夜食がちょっとばかり余計だったかも。出張中は、何も運動してないですからね~。
というわけで、きょうは、「次の健康診断までに体重を2ケタ台に落とす〜〜!」という、大いなる野望に向けて、
半歩後退~~!!!
これで累積20.5歩になりました。土日はしっかり自転車に乗らなくっちゃ!
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